かくも儚い恋心…
一途な想いは、時を越えて今もその胸に生き続ける…
それから数日後…。
大庄さん宅に荷物がきた。
もちろんボクは陽の高い日中に配達に向かった。
今日のボクは
迷わず右の道に進む。
昼なお薄暗い、
大きな木がある道の方だ。
大きな木は「夾竹桃」だった。
木村さんのお宅にあった木だ。
引き込まれるような赤い花が幾重にも咲いている。
夾竹桃の幹に花言葉を書いた札が下がっている
『綺麗な薔薇に棘があるように美しい花を咲かせる夾竹桃には毒があります。花言葉は「危険」「ご用心」などです』
…木村さんから離れていった彼の好きな木か。
木村さんが立っていたのは…この辺りだ。
目の前には
立派な墓石がある。
周りを圧倒するような
大きな墓だ。
木村さん…。
この人が優しかったあの人かい?
毎晩通っているんだってね。
子供が教えてくれたんだよ。
やっと自由なのかな。
彼も逢えて喜んでいるのかな。
ケータイ小説
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