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ケイタイ小説 想い出幽霊

かくも儚い恋心…
一途な想いは、時を越えて今もその胸に生き続ける…


想い出幽霊

第十五章:光

そんな木村さんが何故こんな時間に墓場にいるのか?
何か見てはいけないものを見てしまった感じがした。

大庄さんの玄関が開いた音でボクは大庄さんのお宅を見た。

玄関から、ちらちらと小さな灯りが揺れる。
懐中電灯のようだ。
そしてその光はゆっくりと墓の方に降りてくる。
どうやらこちらへ来ようとしているようだ。

木村さんはどうしているのかと思って見ると
そこにもう姿は無かった。
 
 
どこへ行ったのだろう?
 
 
ボクは立ち上がって辺りを見渡した。
どこにも見当たらなかった。

近づいてくる懐中電灯の光がボクを捕らえた。
  
 
「○○運送さんですか?」
 
 
大きな声がかかる。
わざわざ迎えに来てくれたのだろうか?
ボクが返事を返すと、大庄さんは墓を横切って近づいてきた。
 
 
「こんな時間に本当に申し訳なかったですね〜。どうしても急に必要になっちゃいまして!本当に申し訳ない」
 
 
大庄さんの顔が分かるほどになってから
ボクは、やっと一息つけた。

やわらかな月明かりの下
大庄さんは、ボクのクルマまで送ってくれた。

墓場には何の変化も起こらなかった。

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