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ケイタイ小説 想い出幽霊

かくも儚い恋心…
一途な想いは、時を越えて今もその胸に生き続ける…


想い出幽霊

第十二章:離れ

すぐに付き合いが始まり、彼の優しく頼りがいがあるところに、木村さんは夢中になった。

彼も木村さんを大事にしてくれて毎日夢のような日々だったという。
一時は結婚の約束まで交わしたそうだ。

しかし…。
もろくもその夢は崩れ去る。
ドラマによくある展開になったそうだ。
 
 
あんなに優しくしてくれたのに、出世街道まっしぐらだった彼は、その階段を上がる度に、少しづつ離れていったそうだ。

悲しい結末だ。

それでも木村さんは悪く言わない。
 
 
「いろいろと…事情ってものがあるもの」
 
 
その時の想いが強烈過ぎて他の人とは一緒になれなかった。

以来ずっと一人で生活してきた。たった一人の人を想い続けて。

そんな昔話だった。

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