ケータイ小説:TOP>ホラー>想い出幽霊

ケイタイ小説 想い出幽霊

かくも儚い恋心…
一途な想いは、時を越えて今もその胸に生き続ける…


想い出幽霊

第九章:月明かりの女

それっきり
何の物音もしなかった。

しばらくそのままで硬直した後、ボクは恐る恐る辺りを見渡した。

なにも…いない。
子供は消えたままだ。

そして女性が居る方を覗いて見ると、女性はそこに居た。
さっきと同じ姿勢で同じ方向を見ていた。

大庄さんのお宅を見ているようだ。
 
 
闇に浮かぶ白い横顔がここからでもよく見えた。
 
 
あれ…?
あの女性は…。

ボクはその女性に見覚えがあった。

木村さん(仮名)じゃないか?
 
 
じっと大庄さんの方向を向いている横顔は、よく配達に行く木村さんのその顔だった。
 
 
なにしてるんだ?
 
 
ボクはこの時だけは、子供の事も忘れ、身を低くしたまま木村さんを凝視した。

木村さんはまったく動く気配も無く、ただ、大庄さんの家の方を見ている。


暗闇の中で。
ただひとりで。
 
 
大庄さんの玄関が開く音がした。
 
 
その瞬間
さあと明るくなった。

雲が晴れたのだ。
月明かりが辺りをやわらかく照らし出した。

≪前へTOP次へ≫


この作品のもくじを見る
ケータイ小説:他のホラー作品

ケータイ小説:サイトマップ
ケータイ小説:ホーム

作者について
このサイトについて
著作権

友達に教える

[デコメール][待受画像][着うた]
[キャッシング][占い][出会い]


ケータイ小説
(C)TAKUHAI-ATHLETE