かくも儚い恋心…
一途な想いは、時を越えて今もその胸に生き続ける…
闇の中で、女性はゆっくりと振り向いた。
が、ボクの居る所まで振り返ることはなかった。
ボクにはまるで気が付いていないようだ。
子供に対する恐怖もあったが、ボクは思わずしゃがんで身を隠した。
禍々しい気配を感じる。
あの女性に見つかりたくない。
しかし、しゃがむと子供と同じ目線になってしまう。さっきの子供がまた来たらどうする?激しい恐怖が全身を駆け巡った。
さっきの子供はなんなのだ?
どこから来てどこへ行ったのだ?
何故、あの女性が毎日来ている事を知っているのだ?
あの子供も毎日ここに居るという事か?
あの子供は…あの子供は誰なのだ?
この暗闇の中から
今にも目前に現れて
同じ目の高さから
「にい」と笑う…
その顔を想像して
気が遠くなりそうだった。
来るな来るな!
目を瞑って恐怖に身を縮めた。
ケータイ小説
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