かくも儚い恋心…
一途な想いは、時を越えて今もその胸に生き続ける…
歩いていると思ったより怖くなかった。辺りが暗くて全く見えなかったからだ。
墓場だとわかるから怖いのであって、それが見えないのであれば、怖くもなんともなかった。
街灯も届かないくらいの闇が、逆に味方しているようだった。
さあ、早く配達を済ませてしまおう。ボクは、砂利の小道をじゃりじゃり足音を立てて歩いた。
しばらく行くと二股に分かれる地点があった。
右の道は、大きな木があり日中でも薄暗いが近道だ。
左の道は、遠回りになるが開けていて遠く道路も見える。
さて…。
どちらを進むべきか。
ふっ…。
真っ暗なのに、
薄暗いもへったくれもないよな…。
ボクは苦笑して、右の道を進んだ。
足元に気をつけながら進んでいたので、下ばかり見ていた。
ふと目を上げると、大庄さんのお宅はすぐそばに見えていた。
窓の灯りが見える。
もうすぐ…だな。
そうしてまた足元に目を移した時、視野の隅で、ふわと何かが動いた。
ん?
恐怖も薄れていたボクは、その方向を向いた。
大きな木の傍だ。
そこに…人がいた。
ケータイ小説
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