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ケイタイ小説 想い出幽霊

かくも儚い恋心…
一途な想いは、時を越えて今もその胸に生き続ける…


想い出幽霊

第四章:闇の線

裏山の墓には本堂をぐるっと廻らなければならない。

いよいよ緊張が高まってくる。

こういう時は、「何かの角を曲がる」という、なんでもない行為がとてつもなく怖い。

曲がった先に何か居るんじゃないか?

開襟シャツの男や…分身みたいなモノが。

はたまた闇の住人か。
 
恐怖に身を縮めながら、なるべく大きく本堂を回りこむ。
  
…なにもいなかった。
ホッと胸を撫で下ろす。
 
しかしそこからは、僅かながらも届いていた街灯の灯りさえ本堂の影となり、灯りのまったくない世界が広がっていた。
 
 
ここを抜けていくのか…。
 
 
墓場の入口には、とくに門なども無いのだが、そこからは「闇」なんだと、はっきりと分かる線がボクには見えていた。

思わず、ぶると身が震えた。

さて…ぐずぐずしていても始まらない。
さっさと配達してしまおう。
ボクは再び歩を進めた。

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