かくも儚い恋心…
一途な想いは、時を越えて今もその胸に生き続ける…
裏山の墓には本堂をぐるっと廻らなければならない。
いよいよ緊張が高まってくる。
こういう時は、「何かの角を曲がる」という、なんでもない行為がとてつもなく怖い。
曲がった先に何か居るんじゃないか?
開襟シャツの男や…分身みたいなモノが。
はたまた闇の住人か。
恐怖に身を縮めながら、なるべく大きく本堂を回りこむ。
…なにもいなかった。
ホッと胸を撫で下ろす。
しかしそこからは、僅かながらも届いていた街灯の灯りさえ本堂の影となり、灯りのまったくない世界が広がっていた。
ここを抜けていくのか…。
墓場の入口には、とくに門なども無いのだが、そこからは「闇」なんだと、はっきりと分かる線がボクには見えていた。
思わず、ぶると身が震えた。
さて…ぐずぐずしていても始まらない。
さっさと配達してしまおう。
ボクは再び歩を進めた。
ケータイ小説
(C)TAKUHAI-ATHLETE