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ケータイ小説:昭和から来た男

あの丘の上は異世界だったのか?
ボクは闇の世界を覗いてしまった


昭和から来た男

第十章:言葉

何故か男の方に歩いてしまう。
全身鳥肌が立つくらいの恐怖なのに
どうしても足が止まらない。

男の目の前にまで来てしまった。
すぐ傍にボクが立つと、男が言った。


「ご足労おかけします」
 
「こ、こちらの品物ですが、こちらでよろしいのでしょうか?」

「はい」


この状況の中でボクは聞いた。
恐怖を抑えるために必死で仕事に徹しようとした。

ここには屋敷は無い。
見回してもそれらしき建物は見えない。

あるのは墓地と小屋だけだ。
だから早く帰りたいと思いながらも聞いた。


「このお宅まで届けましょうか?」

「いえ、ここで結構です」

「ですが…」


昨日この男は、この屋敷の場所を尋ねたはずだ。
つまり、この場所を知らなかったという事だ。

となると、この宛先の住人では無い。
それなのに、男は自分宛ての荷物だと言う。

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