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ケータイ小説:昭和から来た男

あの丘の上は異世界だったのか?
ボクは闇の世界を覗いてしまった


昭和から来た男

第九章:再会

そこに……墓地があった。


さっきまで少し開けた場所だと思っていた所が…

その周りは木が生い茂っているだけだった筈の場所が…

ボクが今歩いてきた所が…

今は墓地に変わっていた。


そして…
そこにあの男が立っていた。


昨日、ボクにこの場所にあるお屋敷を尋ねた男。

まるで昭和初期風の格好のあの男が、墓地の真ん中で、少し首を傾げてこちらを見ている。

辺りはこんなに暗い闇なのに…、あの男は白く光っているように浮いている…

そして言った。


「私宛ですね…」


20メートルくらい離れているのに…
小さな声なのに…
耳元で話しかけられているように聞こえた。
 
あぁ…
このまま帰りたかった。

それなのにボクは答えた。

 
「いや、昨日聞かれたお屋敷宛てですよ」


小さな声だった筈だが男には届いたようだ。


「ですから私宛です。…どうぞ」


そう答えた男はボクを促すような素振りを見せた。
そしてボクは男の方へ歩き始めた。

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