あの丘の上は異世界だったのか?
ボクは闇の世界を覗いてしまった
そろそろ配達も終わりだ。
そう思っていた時に、ふと思い出した。朝の嫌な感じの原因を。
住所不明があったのだ。
伝票に書かれた住所を地図で見ると、そこはただの山で何も無い所のはずだ。
その山の下の道は、配達でよく通る道でよく知っているが、山に入る道には厳重に鍵の掛けられた小さな門があるだけだ。
そしてその門には「私有地」とデカデカと張り紙がしてある。
しかし家は無いはずだ。
その山の、そのまた向こうの山からは全体が見渡せるのだが、今まで配達していて、住居らしき建物は無かったはずだから。
だからボクは朝のうちに、調査係に調査を依頼したのだ。
しかし調査係からの返答は「現地確認してきて」というものだった。
現地を確認しなければならない決まりがあるので、現地確認もして来いという事。
ボクももちろん現地確認しなければならない事は分かってはいたが、早くその荷物を調査に手渡したい理由があったのだ。
それは、その荷物の宛先が、昨日会った「昭和風の男」に尋ねられた場所そのものだったからだ。
ケータイ小説
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