かくも儚い恋心…
一途な想いは、時を越えて今もその胸に生き続ける…
『想い出幽霊』
【序章】
そろそろかな…?
ボクは車の時計を見た。
22:00を過ぎたところだ。
よし、いいだろう。
そろそろ行こう。
ボクはドアを開けて、
クルマから降りた。
こんな時間に、ボクは何をしているかというと、今夜は深夜便の配達があるのだ。
夜間便ってのは、18〜20時くらいの配達で、深夜便ってのは、22〜24時という時間帯。
めったに無いけれど、
たまにはある。
ま、嫌な配達ですよ。
特別手当が出るわけじゃなし、残業手当なんて上等なものなんてあるはずもない。
出来ればこんな時間の配達なんてしたくない。
実際、今日の配達は夜間配達の分も含めて18時を少し回った頃には、すでに終わっていた。
そんな時間に終われるのは珍しい。
だからこんな日は、さっさと帰って休みたかった。
たまには早く帰って一風呂浴びて、テレビで野球でも見ながらビールを飲む。
そんな普通の事ができる数少ない日だったというのに。
しかし、どうしてもと、当日配達の深夜便が入荷してしまったのだ。
そんなわけで、ボクは約4時間もの間クルマの中でラジオを聞きながら、この誰もいない駐車場で時間を潰していたというわけだ。
ケータイ小説
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