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ケータイ小説:真夏の夜と都会の海

ボクは…誰と話したんだ?
この電話は何処に繋がったんだ…?


真夏の夜と都会の海

第五章:覚醒

飛び上がりそうになりながら振り向くと、さっき帰った住人が夫婦で出てきていた。

「107号はあそこだよ。取り壊したんだ。建物ごと。事情があってね。…今はホラ、墓が建ってる。」

「!!」

確かにそこには墓石らしきものがあった。

107号室からは別棟になっていたのだろうが、今は取り壊されて106号室の隣に、ひっそりと墓石が立っている…。

そしてそこに誰かがいる!歩いてる!
 
住人は話し続けている。
俺を怪しがりながら。

当然だ。
こんな夜に墓の場所を聞くなんて危ない奴。そんな風に。

当然だ。

「…事故の後…そう…責任…海で」

途切れ途切れに話が聞こえている。

(海で自殺?…あぁ、雑音じゃなかったんだ。あの電話は…あれは海鳴りだったのか。)

だが、話なんか聞いてられなかった。

目が…、自分の目が向こうに歩いていくやつから離せなかった。

墓のほうに歩いていくあいつ。
…あれは…俺だ!

ふわふわと
少し波に足を取られる様に歩いていくあいつは、俺じゃないか!

「おい!」

ハッとした。
住人に肩をつかまれた。
呪縛が解けた。
住人に一瞬目を向けすぐ戻した。

無い!
クルマが!
あいつも消えた?!

あるのは俺の…俺の今乗ってきたクルマだけだ。

う、うわあぁーっ!

俺は叫んだ!
変な奴って思われてもいい!
ただ逃げ出したかった。

突然の叫び声に驚いている住人をよそに、俺はクルマに飛び乗り急発進させた。

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