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ケータイ小説:真夏の夜と都会の海

ボクは…誰と話したんだ?
この電話は何処に繋がったんだ…?


真夏の夜と都会の海

第六章:追跡

飛び出して闇雲に走った。
夢じゃない。確かに見た!

…住人には判らなかったのか?

だからあそこの夜の配達は嫌だったんだ!
18時以降なんかにしやがって!

グルグル廻る思考は、だんだんと所長への怒りに変わっていった。

そのおかげで少し冷静になれた。

有り得ない。
有・り・得・な・い!
あんな事。

107号室に電話する。
もう一度掛けるよ。
否定したいから。

「オカケニナッタデンワハ…」

繋がらなくなってしまった。
ははは…。パニックになると思ったが意外にも冷静でいられた。
…そう、思い出したから。

傷が…。傷があった。
あのクルマに。

降りてクルマを確認した時に見つけていたんだ。

そう!あったんだ。
俺のクルマに無い傷が!
そうだよ同じじゃない。
同じクルマなんかじゃないんだ!勘違いだ。
似ていただけだ。

クルマが無くなったのは単に移動しただけだ。
住人の方を向いていたのが一瞬だったんじゃなく、無意識のうちに何か会話したんだろう。
その間に…、という訳だ。

伝票も書き間違い。
電話が繋がらないのは何か転送とか…とにかく俺の知らないシステムのせい。

海鳴りもただの雑音!
そうだよ、そうに決まってる。

もういい。
今日は帰ろう。
明日所長に事情説明だ。

もちろん「やはり不明だけど電話が繋がらなくて持ち帰ってしまった」と。

多少申し訳ない素振りを見せるのも仕方ないだろう。

落ち着いてクルマを出す。
何てこと無い。全部勘違いだった。
運転しながら深呼吸をして落ち着こうとした。

その時!

「バンッ!」

何かがクルマに当たった。
慌てて降りる。まさか人を…。

しかし何も無い。
そんなに重量物が当たった感じではなかった。

だとしたら木の枝とか?
辺りを見回したが判らない。
生き物じゃなかったと思うが…。

クルマを見回していると…

「!!」

傷がっ!
あのクルマに付いていた傷が!
同じ場所に同じように。

う、うわあぁぁっ!

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