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ケータイ小説:真夏の夜と都会の海

ボクは…誰と話したんだ?
この電話は何処に繋がったんだ…?


真夏の夜と都会の海

第三章:幻覚

そして夜。
その日に限って18時以降が集中してしまって、早く行きたかったのに20時近くになってしまった。

夜の社宅は昼とは全く違い荒涼とした感じさえ受ける。外灯も点かず月の明かりさえ薄暗く感じる。

住所が正当という事は『104』が抜けているとか、部屋の割り振りが違うとかそういうことなんだろう。
もう一度確認してみる。
102、103、104…。ちゃんとある。106まで。
しかし107号室は、やはり…無い

すると1階ではないのか?2階に上がってみたが206号になっている。やはり住不だ。

仕方ない。もう一度電話を掛けることにする。
リダイヤルではなくキチンと番号を押す。

今度は掛かった!
呼び出し音が鳴っている。
やはり昼は間違えたのか。

ガチャ。相手が出た。

「もしもし、先ほどお電話した○○運送ですがもう一度ご住所の確認を…」

確かに繋がっているはずだが、相手は無言だ。

いや…何か聞こえる。
何の音だ?
受話器を耳に押し当てる。

ザザ…ザザ…ザザザ…

…雑音?

相手は無言だが、こちらまで無言になるわけにいかない。

話を続けてみる。

「えーと、もう一度ですねぇ、お部屋番号の確認…」

「…合ってます」

「は?あー、いや伝票では107になっているんですが」

「…合っています」

女性の声だ。
雑音が酷くてよく聞き取れないがしかし合っていると言われても判らないものは判らない。

もう一度確認しようとしたその時に、いきなり背後からクラクションを鳴らされた。

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