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ケータイ小説:昭和から来た男

あの丘の上は異世界だったのか?
ボクは闇の世界を覗いてしまった


昭和から来た男

第一章:男

その男は、突然現れた。
 
ボクはクルマを降りて荷室の荷物を探している最中で、その男の気配にまるで気が付かなかったから、ひどく驚いた。

 
「家を…探しているのですが…。」


あぁ。
宅配便 をやっていると、道を聞かれる事はよくある。

その町の隅々まで知っているプロフェッショナルなんだから、道に迷ったら 宅配便 に聞くというのは、正しい判断だと思う。


しかし、ボクはその男の容貌に何だか妙な胸騒ぎを覚えた。


キチンとした格好だが、なんだか妙に「昭和」染みている。今時珍しいくらいの太い黒ブチ眼鏡。そして白い開襟シャツ。髪もきちんと刈り上げられている。

それなのに靴だけは、擦り切れて穴が開いていた。
 
 
「はい。どちらを探しているんですか?」

「こちらのお屋敷なんですが…」


差し出された地図は、手書きの住宅地図だった。
しかも、何年も前の物のようで黄ばんでいる。

そこに描かれている住宅も、戸数が極端に少なくて、とても、ここ数年のものとは思えない。

 
「ご存知ないでしょうか?」


古い地図だなぁ。一体何十年前の地図なんだろう?
ボクが地図をあまりにもじっと見ていて何も言わないので知らないと思ったのだろうか?

男はボクの顔を覗き込んできた。
一瞬、全身の毛が逆立つような感じがした。

あわてて探す振りをしたものの、あまりの地図の古さと、手書きのせいもあるのだろうが、現在の住宅とその地図を頭の中で重ねてみるがボクには、全く見当がつかなかった。

 
「えーと、何番地か分かりませんか?」

「番地…。わかりません」


申し訳なさそうに男は言うと、丁寧にボクに礼を言って去って行った。

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